薄毛や抜け毛に悩む方にとって、育毛効果が期待できる成分が気になる方も多いでしょう。しかし、育毛効果が期待できる成分は多岐にわたり、どの成分が自分に合っているのか判断するのは困難です。
本記事では、育毛効果が期待される成分を医薬品、医薬部外品、その他の成分の3つのカテゴリーに分けて紹介します。自分に合った育毛剤を選ぶ際の参考にしてください。
育毛効果が期待されるおすすめの成分一覧【医薬品成分】
医薬品成分は、医師の処方箋が必要な強い効果を持つ成分です。育毛への高い効果が期待できる一方で、副作用のリスクも考慮しなければなりません。育毛効果が期待される代表的な成分を紹介します。
育毛成分 | 期待される効果 |
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ミノキシジル | 血管拡張作用、発毛力の促進 |
フィナステリド、デュタステリド | 男性ホルモンによる抜け毛を抑制 |
ケトコナゾール | 抗菌作用、男性ホルモンの抑制効果 |
グリチルサリチル酸 | 抗炎症作用、血管拡張作用 |
ミノキシジル
ミノキシジルは、毛母細胞を活性化し、発毛を促進する働きがあります。当初は高血圧治療薬として開発された成分ですが、服用患者に多毛の副作用が頻発したことから、その育毛効果が注目されるようになりました。
具体的には、毛包の血管を拡張し、毛母細胞への栄養供給を増やすことで、毛髪の成長を促進するのです。ミノキシジルの育毛効果は、主に男性型脱毛症(AGA)の頭頂部に対して認められていますが、生え際の薄毛に対する効果は限定的とされています。
ミノキシジルは使用を中止すると再び抜け毛が増加する可能性があるため、継続的な使用が必要です。また、頭痛や心拍数の増加、血圧の変化など、副作用にも十分に考慮する必要があります。
フィナステリド、デュタステリド
フィナステリド及びデュタステリドは、本来は前立腺肥大症の治療薬として開発された成分です。フィナステリドは、男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑制します。
DHTは、男性型脱毛症(AGA)の主要な原因物質とされており、毛包を萎縮させ、毛髪の成長を阻害します。そこでフィナステリドは、5α-リダクターゼというDHT合成酵素の働きを阻害することで、AGAの進行を遅らせる効果が期待できるのです。
フィナステリド及びデュタステリドの服用には、性欲減退や性機能障害などの副作用が報告されているため、十分な注意が必要です。また、もともと女性には効果はありませんが、胎児に影響があるので、女性特に妊婦の方はフィナステリドの服用は必ず避けましょう。
ケトコナゾール
ケトコナゾールは、抗真菌作用を持つ医薬品成分で、主に脂漏性皮膚炎やフケ、かゆみを改善する効果があります。ケトコナゾールは、真菌の細胞膜の合成を阻害することで、真菌の増殖を抑制します。また、ケトコナゾールにはDHTの産生を抑制する働きもあるため、AGAの改善にも役立つとされています。
そのため、ケトコナゾール含有のシャンプーなどを薄毛治療の一環として活用される方もいます。
ただし、肝機能障害などの重篤な副作用が報告されているため、医師の監督下で使用することが重要です。また、他の薬剤との相互作用が多いことでも知られているため、併用薬がある場合は、医師や薬剤師に相談してから使用しましょう。
グリチルリチン酸(グリチルレチン酸)
グリチルリチン酸は、甘草(カンゾウ)から抽出される成分で、強力な抗炎症作用や抗アレルギー作用を持っています。グリチルリチン酸は、ステロイド系抗炎症薬に匹敵する効果を示すとされ、頭皮の炎症を鎮静化し、育毛に適した環境を整えます。
また、グリチルリチン酸には、血行促進作用もあるため、毛母細胞への栄養供給を高める効果も期待できるでしょう。ただし、過剰摂取による血圧の上昇や低カリウム血症、むくみなどの副作用が報告されているため、摂取量には注意が必要です。
育毛効果が期待されるおすすめの成分一覧【サプリメント等】
医薬部外品成分は、医薬品ほどの即効性は期待できませんが、比較的穏やかな働きかけで育毛をサポートします。育毛効果が期待される代表的な医薬部外品成分を紹介します。
育毛成分 | 期待される効果 |
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パンテノール | 毛母細胞の代謝を高める働き |
酢酸トコフェロール | 抗酸化作用と血行促進作用 |
ヒノキチオール | 毛母細胞の活性化作用 |
亜鉛 | ケラチンの合成に必要不可欠なミネラル |
クエン酸 | 頭皮環境の維持 |
L-リジン | ケラチンタンパクの合成素材 |
ニコチン酸アミド(ナイアシン) | 毛母細胞のエネルギー代謝向上 |
パンテノール
パンテノールは、ビタミンB5の誘導体で、保湿効果や皮膚の修復促進効果に優れています。パンテノールは、角質層の水分量を増やし、バリア機能を高めることで、頭皮の乾燥やかゆみを防ぎます。また、毛母細胞の代謝を高める働きもあるため、毛髪の成長を促進する効果も期待できるでしょう。
パンテノールは、肌への刺激が少ない成分として知られており、敏感肌の方にも使いやすいのが特徴です。ただし、まれにアレルギー反応を起こす可能性があるため、使用前にはパッチテストをおこなうのが望ましいでしょう。
酢酸トコフェロール
酢酸トコフェロールは、ビタミンEの一種で、強力な抗酸化作用と血行促進作用を持っています。酢酸トコフェロールは、活性酸素から細胞を守ることで、毛母細胞の老化を防ぎ、毛髪の成長を促進します。また、血行促進作用により、毛母細胞への栄養供給を高める効果も期待できるでしょう。
酢酸トコフェロールは、比較的安全性の高い成分ですが、大量に摂取すると、吐き気や下痢などの副作用が起こる可能性があります。また、血液凝固阻止作用があるため、出血性疾患がある方や抗凝固薬を服用している方は、医師に相談してから使用しましょう。
ヒノキチオール
ヒノキチオールは、ヒノキの精油から抽出される成分で、優れた抗菌作用と消臭作用を持っています。ヒノキチオールは、頭皮の雑菌を抑制し、清浄な頭皮環境を保つことで、フケやかゆみを防ぎます。また、毛母細胞の活性化作用もあるため、毛髪の成長を促進する効果も期待できるでしょう。
ヒノキチオールは、比較的刺激の少ない成分ですが、アレルギー反応を起こす可能性があります。使用前には必ずパッチテストをおこない、異常がないことを確認しましょう。
クエン酸
クエン酸は、柑橘類などに含まれる有機酸で、角質軟化作用や保湿作用を持っています。クエン酸は、頭皮の角質を柔らかくし、毛穴の詰まりを取ることで、毛髪の成長を促進します。また、頭皮の pH バランスを整える働きもあるため、頭皮環境を健やかに保つ効果も期待できるでしょう。
クエン酸は安全性の高い成分ですが、高濃度の製品を使用すると、刺激を感じる場合があります。そのため、敏感肌の方は低濃度の製品から始めるなど、慎重に使用しましょう。
亜鉛
亜鉛は、タンパク質の合成や細胞分裂に関与する必須ミネラルで、毛髪の成長に欠かせない栄養素です。亜鉛は毛母細胞の代謝を高め、毛髪のケラチンの合成を促進することで、毛髪の成長を助けます。また、亜鉛には抗炎症作用もあるため、頭皮の炎症を抑える効果も期待できるでしょう。
亜鉛は安全性の高い成分ですが、過剰摂取は銅の吸収を阻害し、貧血などの症状を引き起こす可能性があります。また、亜鉛の吸収率は、他の栄養素の影響を受けやすいため、バランスの取れた食事を心がける必要があります。
L-リジン
L-リジンは、必須アミノ酸の一種で、タンパク質の合成に欠かせない栄養素です。L-リジンは、毛髪の主成分であるケラチンの構成要素であり、毛髪の成長を促進する働きがあります。また、L-リジンにはコラーゲンの合成を助ける働きもあるため、頭皮の柔軟性を高め、毛髪の健康を維持する効果も期待できるでしょう。
L-リジンは比較的安全性の高い成分ですが、大量に摂取すると消化器系の副作用が現れる可能性があります。また、L-リジンは、アルギニンと拮抗作用があるため、バランスの取れた摂取が重要です。
ニコチン酸アミド(ナイアシン)
ニコチン酸アミドは、ビタミンB3の一種で、細胞のエネルギー代謝に関与する重要な栄養素です。ニコチン酸アミドは、毛母細胞のエネルギー産生を高め、毛髪の成長を促進する働きがあります。
ニコチン酸アミドは安全性の高い成分ですが、大量に摂取すると、顔のほてりやかゆみ、胃腸障害などの副作用が現れる可能性があります。また、肝機能に影響を与える可能性もあるため、肝疾患がある方は医師に相談してから使用しましょう。
育毛効果が期待されるおすすめの成分一覧【その他の成分】
医薬品や医薬部外品以外にも、さまざまな植物由来成分やアミノ酸、ビタミンなどが育毛剤に配合されています。これらの成分は、育毛効果が期待できる一方で、個人差が大きいのが特徴です。育毛効果が期待される注目度の高い成分を紹介します。
育毛成分 | 期待される効果 |
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5-ALA | 毛母細胞を活性化し、新しい毛の育成を促進する働き |
パルテノライド(フィーバーフュー) | 頭皮環境を整える |
ノコギリヤシ(ソーパルメットエキス) | DHTの抑制 |
オウゴンエキス | 頭皮環境を整える |
イチョウ葉エキス | 血行促進作用 |
カプサイシン | 血行促進作用 |
プロアントシアニジン | 活性酸素の除去による毛母細胞の保護 |
プラセンタエキス | 頭皮環境を整える |
褐藻エキス(フコイダン) | 毛母細胞の増殖を促進する |
アロエエキス | DHTの生成抑制 |
5-ALA
5-ALAは、アミノ酸の一種で、毛母細胞を活性化し、新しい毛の育成を促進する働きがあると考えられています。5-ALAは毛穴周辺に集まりやすい性質があり、毛母細胞のミトコンドリアに直接働きかけることで発毛効果が期待できるのです。
5-ALAと鉄を組み合わせたFe-ALAは、動物実験で高い毛髪伸長効果を示し、ヒトを対象とした試験でも、抜け毛の減少が認められています。
加齢によって毛母細胞やメラニン産生細胞が弱ったり、毛包幹細胞のミトコンドリアが衰えたりすることで、発毛に必要なエネルギー産生が低下します。5-ALAは、こうした老化の影響を緩和し、育毛・発毛効果を発揮すると期待されています。
ただし、5-ALAの効果には個人差があり、即効性は期待できないため、継続的な使用が重要です。
パルテノライド(フィーバーフュー)
パルテノライドは、夏白菊の葉に含まれる成分で、強力な抗炎症作用を持っています。パルテノライドは、NF-κB(核内因子カッパB)という炎症を引き起こす物質の活性を抑制することで、頭皮の炎症を鎮静化し、育毛に適した環境を整えます。
また、パルテノライドには血行促進作用もあるため、毛母細胞への栄養供給を高める効果も期待できるでしょう。さらに、パルテノライドは抜け毛の原因となるDHT(ジヒドロテストステロン)の産生を抑制する働きもあるため、AGAの進行を遅らせる効果も期待できます。
パルテノライドは比較的安全性の高い成分ですが、血液凝固阻止作用があるため、出血性疾患がある方や抗凝固薬を服用している方は、医師に相談してから使用しましょう。
ノコギリヤシ(ソーパルメットエキス)
ノコギリヤシは、北米原産のヤシ科の植物で、その果実に含まれるソーパルメットエキスには、DHT(ジヒドロテストステロン)の産生を抑制する働きがあります。DHTは、AGAの主要な原因物質とされており、毛包を萎縮させ、毛髪の成長を阻害します。
ノコギリヤシは、5α-リダクターゼというDHT合成酵素の働きを阻害することで、AGAの進行を遅らせる効果が期待できます。また、炎症を抑える働きもあるため、頭皮の環境を整える効果も期待できるでしょう。
ノコギリヤシは、まれに消化器系の副作用が現れる可能性があります。また、血糖値を下げる作用があるため、糖尿病の方は医師に相談してから使用しましょう。
オウゴンエキス
オウゴンはシソ科の多年草で、その根茎に含まれるエキスには、抗炎症作用や抗菌作用があります。頭皮に対しては炎症を抑え、フケやかゆみを防ぐ効果が期待できるでしょう。また、毛細血管を拡張し、頭皮の血流を改善する効果もあるため、毛根に必要な栄養分の供給が促進され、毛髪の健やかな成長を支援します。
オウゴンエキスは光感受性を高める作用があるため、使用後は過度な日光浴を避ける必要があります。
イチョウ葉エキス
イチョウは、イチョウ科の落葉高木で、その葉に含まれるエキスには、血行促進作用や抗酸化作用があります。頭皮に対しては血行を改善し、毛母細胞への栄養供給を高める働きがあります。また、抗酸化作用もあるため、活性酸素から毛母細胞を守る効果も期待できるでしょう。
イチョウ葉エキスは、まれに消化器系の副作用が現れる可能性があります。また、血液凝固阻止作用があるため、出血性疾患がある方や抗凝固薬を服用している方は、医師に相談してから使用しましょう。
カプサイシン
カプサイシンは、トウガラシの辛み成分で、血行促進作用や代謝促進作用があります。カプサイシンは、頭皮の血流を増加させ、毛母細胞への酸素や栄養の供給を高める働きがあります。また、は抗炎症作用もあるため、頭皮の炎症を抑える効果も期待できるでしょう。
カプサイシンは、刺激性が強い成分であるため、敏感肌の方は低濃度の製品から始め、様子を見ながら使用する必要があります。また、眼や粘膜に刺激を与える可能性があるため、取り扱いには十分な注意が必要です。
プロアントシアニジン
プロアントシアニジンは、ブドウ種子や松樹皮などに含まれるポリフェノールの一種で、強力な抗酸化作用を持っています。活性酸素から毛母細胞を守り、毛髪の成長を促進する働きがあります。
また、プロアントシアニジンには毛細血管を強化する効果があり、頭皮の血流を改善することで、毛根への酸素や栄養分の供給を向上させ、健康的な髪の成長を促進します。ただし、プロアントシアニジンは鉄の吸収を阻害する可能性があるため、貧血の方は使用に注意が必要です。
プラセンタエキス
プラセンタエキスは、胎盤から抽出されるエキスで、さまざまな成長因子やアミノ酸、ビタミンを含んでいます。プラセンタエキスは毛母細胞の活性を高め、毛髪の成長を促進する働きがあります。また、血行促進作用や抗炎症作用もあるため、頭皮の環境を整える効果も期待できるでしょう。
プラセンタエキスの摂取後は、むくみや腹痛、眠気などの副作用が起こることがあります。用量が多すぎる場合に発生しやすいと考えられてるため、用法・用量を守って使用しましょう。
褐藻エキス(フコイダン)
褐藻エキスは、昆布やワカメなどの海藻から抽出されるエキスで、フコイダンと呼ばれる多糖類を含んでいます。フコイダンには血行促進作用や抗炎症作用があるため、頭皮の環境を整える効果が期待できるでしょう。また、毛母細胞の増殖を促進する効果も報告されています。
ただし、褐藻エキスはヨウ素を多く含むため、甲状腺機能に影響を与える可能性があります。甲状腺疾患がある方は、医師に相談してから使用しましょう。
アロエエキス
アロエエキスは、アロエベラから抽出されるエキスで、男性型脱毛症(AGA)の抑制に効果があるとされるアロインを含んでいます。アロインは、5α-リダクターゼの活性を阻害し、AGAの原因物質であるジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑制します。
アロエエキスは、頭皮マッサージをおこないながら塗布するのが基本です。マッサージによる頭皮の血行促進と、アロエエキスの浸透により、高い育毛効果が期待できるでしょう。アロエエキスは、ホルモンに直接影響を与えない安全性の高い成分で、一般食品としても広く使用されています。
育毛成分を確認するうえで理解しておきたいこと
育毛剤を選ぶ際は、自分の頭皮の状態や体質に合った成分を選ぶことが大切です。抜け毛の原因は人によって異なるため、育毛剤の効果にも個人差が生じます。なかには、特定の成分が合わず、逆効果になってしまうケースも少なくありません。
育毛剤を使い始める前は、パッチテストをおすすめします。肌の一部に少量の育毛剤を塗布し、24時間から48時間様子を見ます。かぶれやかゆみ、赤みなどの異常が現れた場合は、その育毛剤の使用は控えましょう。
特に、今までに化粧品などでアレルギー反応が出たことがある方は、慎重に成分を確認するべきです。メーカーによっては全成分表示をしていない場合もあるため、心配な方は医師や薬剤師に相談するのもよいでしょう。
育毛剤の効果を最大限に引き出すためには、自分の体質や肌質、抜け毛の原因を理解し、それに合った成分を選ぶことが重要です。使用前のパッチテストを怠らず、少しでも異常が現れた場合は、使用を控えることが賢明と言えます。
まとめ
育毛剤やサプリメントを選ぶ際は、自分の体質や抜け毛の原因を考慮し、成分のバランスが取れた商品を選ぶことが重要です。また、アレルギーがある場合は、成分表示を確認し、心配な場合は医師や薬剤師に相談しましょう。
バランスの取れた食事や適度な運動、ストレス管理などの生活習慣も意識し、サプリメントや育毛剤を有効に取り入れていきましょう。